【認知症ケア】待つという支援の大切さ。デイサービス初回利用までに2カ月かかった理由

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「デイサービスの利用が決まったのに、全然来てもらえない」

「送迎に行っても、毎回断られて帰るだけ」

認知症のある方の支援では、利用契約=利用開始とスムーズにいかないことは、よくあることですよね。

今回のお話に登場するDさんも、契約後すぐにサービスを利用できたわけではありません。送迎車両に乗って、デイサービスの場に来てもらえるまでに、2カ月かかりました。

しかも、やっとのことでいらした初日も、「帰りたい」「面白くない」と早退。入浴もできませんでした。

それでもDさんは、最終的に週3回、1日利用できるようになります。

この事例は、Dさんをうまく説得した話ではなく、結果を急がなかったからこそ、介護サービスに繋ぐことができた支援の話です。

1.Dさんについて

Dさんは70歳代のアルツハイマー型認知症の女性です。
ご家族は遠方に住んでおり、ながらく独居生活をされていました。

しかし、このところ症状が急激に進行し、心配した家族がデイサービスを希望され、週1回の利用契約を結びました。

まる
まる

入浴ができていない、食事が安定しない、そして安全面が心配ということで、サービスを利用することになったんだ

2.「行きたくない」は、本音じゃなかった

初回の送迎時、Dさんはこう話されました。

Dさん
Dさん

「デイサービスなんて聞いてない」
「行きたくない」
「お父さんとお母さんのことをやらないといけない」

新人まるる
新人まるる

「行きたくない」ってはっきり言われると、
Dさんにデイサービスの利用を拒否されてるって思っちゃいます…

まる
まる

そう感じるのは、自然なことだよ。

でも実は、Dさんはデイサービスが嫌だと言ってるわけじゃないんだ

まるみ
まるみ

今は家を離れられないって気持ちの方が強そうだよね

Dさんは、以前ご両親の介護をされていました。
その記憶がよみがえり、役割意識の中で生きている状態だったと考えられます。

3.声かけが響かなかった理由

  • 「おいしい食事がありますよ」
  • 「楽しいところですよ」

こうした声かけもしましたが、反応は変わりませんでした。

新人まるる
新人まるる

ちゃんと説明してるのに、どうして伝わらないんでしょう…?

まる
まる

説明が足りないんじゃなくて、“安心が足りていない”ことが多いんだよ

まるみ
まるみ

不安が強いと、正しい話ほど入ってこないもんね

認知症の方にとって、状況を理解するよりも、今の気持ちが優先される場面は多くあります。

4.それでも、関係を切らなかった2カ月

・送迎の職員を固定する
・断られても、また会いに行く(時間をおいて、当日に改めてお迎えに行く)

この2つが、私たちが意識して行ったことです。

するとある日…。
朝の送迎(再訪)の際、Dさんが送迎職員の一人を見て

Dさん
Dさん

お兄さん、さっきも来てくれたんだけど…デイサービス行けないのよ。

職員のことを、さっきも迎えに来たお兄さんなんか知ってる人として認識してもらえた瞬間でした。

この「なんとな~く、知っている」が、次の一歩につながります。

新人まるみ
新人まるみ

名前も分からないのに、意味あるんですか?

まる
まる

“分かる”より、“知ってる感じがする”が大事なんだ

まるみ
まるみ

顔なじみって、思ってる以上に力あるよね

5.初めて利用できた日も、すぐ帰りたくなった

2カ月後、担当のケアマネジャーさんも一緒に行くということで、Dさんは「しょうがないわね」と送迎車に乗ってくれました。

しかしデイに着くと、早々に強い帰宅願望が出ました。

Dさん
Dさん

おじいさんやおばあさんばっかり。
面白くないから帰りたい!

新人まるる
新人まるる

せっかく来てくれたのに…
もう少し頑張ってもらいたくなります

まる
まる

でもね、「帰りたい」って言えるのは、
ちゃんと気持ちを出せている証拠なんだよ

まるみ
まるみ

無理に引き止めたら、次がなくなるかもしれないよね

6.「今日はここまで」で終える支援

Dさんは「お腹は減っている」と話されていたため、昼食を一番に提供しました。
食後も気持ちは変わることなく、「帰る」との言葉があり、私たちは早退の対応としました。

まる
まる

今日はここまで。途中で終えることも立派な支援です

7.少しずつ、安心が積み重なっていく

・車に乗る
・昼食を食べる
・少し過ごす
・帰りたいと言ったら、家に送ってもらえる

 この積み重ねで、Dさんのデイサービス滞在時間は徐々に延びていきました。

新人まるる
新人まるる

デイサービスという場所に慣れたということですか?

まる
まる

うん。
場所に慣れたということもあるけど、この人がいるから安心と思える人ができたって感じかな〜。

まるみ
まるみ

Dさん、特定の職員さんのところによく来てお話してたもんね

8.時間をかけた結果…

・1日通しでの利用が可能となった
・女性職員の声かけで入浴出来るようになった
・帰宅願望はほとんどなくなった

・3カ月後にはの変化はご覧の通り。最終的に、週3回利用につながりました。

9.この事例で一番伝えたいこと

「認知症だから、覚えられない、何もわからない」という、この考え方は、一番危険です。

新人まるる
新人まるる

でも、説明をうけても、わかってなさそうでしたよね…?

まる
まる

説明や状況を理解することは難しくても、“この人は優しい”とか“この人は嫌”は分かるんだ

まるみ
まるみ

好き嫌い、心地良さといった、生理的欲求に近い感情や感覚って残りやすいよね

認知症があっても、感情はしっかり残ります。
だからこそ、一つひとつの対応が、その人の安心につながります。

10.まとめ

  • 拒否には理由がある
  • 急がない支援も必要
  • 短時間のデイサービス利用
  • 認知症があっても、感覚は残る

うまくいかない日があっても、関係さえ切らなければ必ず次の機会があります。

Dさんの事例から、「認知症があっても、快・不快の感覚は残る」「急がない支援が、結果的に一番の近道になる」そんなことをお伝えしました。                                                                                            

まる
まる

この事例が、「結果がでなくても焦らなくていいんだ」と、誰かの肩の力が抜けるきっかけになれば嬉しいです。

10.次回予告

次回は、レビー小体型認知症のEさんの事例を取り上げます。

  • 昨日できていたことが、今日はできない
  • 幻視や不安が強く、関わりが難しい
  • 「どう声をかけても逆効果になる」ように感じる場面

レビー小体型認知症ならではの特性に、現場でどう向き合ったのか。
「正解を探さない関わり」「その日のEさんを基準にする支援」について、現場の視点で書いていく予定です。

まる
まる

最後までお読みいただきありがとうございました〜

次回も是非ご覧ください

サイト運営者:まるさん
入所施設、通所施設での介護歴20年。実務者研修などの講師歴15年。現在は管理職として奮闘中です! 介護の現場で悩む新人さん、中堅職員さん、介護技能実習生さん達の力になれたら…そんな想いでブログを始めることにしました。 【保有資格】介護福祉士、介護支援専門員
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